2013年11月29日金曜日

漢方事始め35年4ー手始め・乾癬の治療

   山本師匠に重症乾癬性紅皮症を
治してもらったことで、大阪市大皮膚科では
”漢方は効く”ということになりました。
そのころ、漢方薬を使っている大学など
まったくありませんでしたが、私や
親友の高橋君(現・大東市高橋皮膚科院長)は
漢方薬を使って皮膚病を治すことにとても熱心になりました。
まず、手始めに難治で困っていた疾患である乾癬を
漢方薬でどれくらい治せるか、調べてみることにしました。
山本師匠の言われる通り、肉や油ものを減らして
漢方薬の「桂枝茯苓丸」と「温清飲」との2方剤を
投与すると、今までステロイドをいくら塗っても
治らなかった患者さんでも、よく治る方がかなりの数
おられることが、判明しました。


上:治療前
下:治療後(食養生と漢方薬のみで治癒状態)


2013年11月26日火曜日

箸休め・院内紹介2-頭シラミ流行ってます

   学校や理髪店で頭にシラミがいると言われて
来院される方が多くなっています。
シラミなんてこわくもないんですが、
頭がかゆくなりますし、他人に移るといわれると
いやですね。
ところで、当院長などは
小学校低学年のころ、学級生徒が
一斉にならばされて、”君たちには
シラミがいるに違いない”とばかりに
DDT(強い環境ホルモン)を噴霧器で
あたまから背中にかけてたくさんかけられて
子供ながら、とっても屈辱的で悔しかった
思い出があります。 占領軍の政策の一環でしょう?

白いものがついてる髪を切って、顕微鏡で観察
米粒のように見えれば、卵です(上)
透けて見えれば卵の抜け殻(下)です。
子供の患者さんと一緒に観察して確認して、理科の勉強してます。
白い筒にみえれば、シラミ卵ではなく髪の毛の地肌成分なので
ご心配なく。
シラミには駆除のためにスミスリンを使用します。
当院長は殺虫剤を使わず、これをイオウ剤で代替できないかと
考えていますが、どなたか皮膚科医さんやったことないですか?
教えてください。

2013年11月23日土曜日

箸休めーー院内紹介1

  紫外線治療も最近ではかなり進歩しています
特定の波長(308nm)のみを照射できる紫外線照射装置により
効果を高めています
昨年から今年退職するまで大学皮膚科でエキシマライトを
使用して脱毛症や乾癬の治療をおこなったところ
かなり結果がよかったので、当院でも導入し、
治療効果を上げています。
この他の類似機種もありますが、
この機械が納入されているのは大阪府下では
現在16施設でした。
お近くでお探しの方はご相談ください。

適応疾患は表のように結構広いですし
アトピーで顔のみ掻痒強く、プロト
でも困る場合にも
効果があります。

漢方事始め35年3ー煎じ薬の匂いは?

   難病の患者さんは”乾癬性紅皮症”の方で、
病棟での治療はその頃、流行っていた”ゲッケルマン療法”
という、全身にコールタールを塗って
紫外線を当てる治療法(案外効果が高いのですが、
発がん性が言われて中止になった)や
全身に強いステロイドのトプシムクリームを外用してから、
ナイロンで包む外用密封療法などを行っていたが
全身が1週間できれいになっても、治療を中断すると3日で
元通りの全身真っ赤な状態になるという事の繰り返し。
1か月たっても
退院できる目途は全く立たなかった。

漢方の大家からもらってきた薬に望みをつないで
治療を始めた。
山本 巌先生から頂いた漢方薬は生薬で
今のようなエキス剤ではなかった(写真)
これを病棟の炊事場で煎じると
その漢方薬独特のにおいが病棟中に立ち込めた。
看護師さんや看護師長に
他の患者さんに迷惑だとおこられたが
この患者さんに必要なんですと主張して
続けていたら、みなさん鼻が慣れたのか
文句も言われなくなった。
そのころから、患者さんの真っ赤な状態が
薄皮をはぐように徐々に改善し始めたのだった

続く





2013年11月17日日曜日

漢方事始め35年2ーわが恩師山本巌先生

   35年前に難治の皮膚病患者さんを連れて
環状線に乗り、京橋で漢方内科を開業されていた
山本 巌先生(故人)のもとへ伺ったら、
先生は写真のようにひょうひょうとしたスタイルで
患者さんの話に熱心に耳を傾けて診療をされていた。
巷で、「漢方のことは山本に訊け」とか、「漢方の大家」とかいわれて
いる敷居のお高い先生かとおもいきや、
庶民の味方として診療をされている
様子がよくわかった。
信頼できそうな人柄と思い
色々教えていただいて
患者さんの漢方薬をどっさり
抱えて大阪市大病院に帰ったが。
それからが大変だった。

続く

2013年11月8日金曜日

漢方事始めから35年1-皮膚科漢方ベストマッチ22

  
 私は皮膚科で漢方薬を使い始めて35年になります。
患者さんを治すのに今まで言い尽くせないほど
役立ってくれています
そんな漢方薬ですが、皮膚科の中でのコンセンサスが
なかなか得られてきませんでした。
私達大阪市大皮膚科では
前にも書いた補中益気湯の有効性を
二重盲検法で証明したり、
動物実験でアンチエイジングの漢方薬を
見つけたりして、皮膚科漢方治療を
盛り上げてきました。
今回、皮膚科で使用する代表的漢方処方を
22剤選んで、日本中の皮膚科漢方を
行っている、優れた皮膚科医に
執筆依頼して、
皮膚科で漢方薬を使う医師の指標になるような
書物をまとめることができました。
その名も「皮膚科漢方処方ベストマッチ22」
です。
ブログを読まれている皮膚科の先生がおられたら
ぜひ一読し、日常診療にお役立てください。
とっても濃い内容ですよ~。